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今回の執筆者: カテリーナ・レベディエワ


私は子供の頃から本や本屋が大好きでした。自宅にあるガラス張りのクローゼットにあったマリア・プリマチェンコのアルバムを眺めるのがとても楽しみだったのを覚えています。母の友人を訪ねたときには、ウクライナのイースターエッグに関する本に魅了されました。この友人は自宅でイースターエッグの色付けワークショップを開いていました。何と心躍る催しだったでしょう!それは1990年代、ウクライナにとって独立と国家復興の先駆けの時代でした。本は常に自分を惹きつける存在でした。私は読書を重ね、そして自分で書くことも始めました。しかしまだ本を集めるまでには至っていませんでした。

転機は2014年の春に訪れました。当時、私は歴史小説の仕事を終えて、手元には、この仕事に必要な情報を求めて中古品サイトで購入した書籍が数十冊残っていました。そのとき私の頭に浮かんだのは、誰かがこれらの本を必要としているかもしれない、しかしそれを見つけるのは容易ではない、それならそれをオンラインに投稿してみるというのはどうだろうということでした。こうしてウクライナアートライブラリー (uartlib.org) プロジェクトが始まりました。このアートライブラリーは、一方ではオンライン図書館であり、他方、私の本のコレクションでもあります。 私はこの新たな活動を可能な限り深く掘り下げていきました。これまで知られていなかったウクライナのアーティストについて学べたのは本のおかげだったからです。

一冊の本の存在がウクライナアートライブラリーの構成を決定づけます。あるアーティストに関する本が一冊出版されると、そのアーティストのプロフィールも明らかにされます。私はオンラインやフリーマーケットで本を蒐集して行きました。そして好意的な芸術評論家やアーティストが私のサイトのために本を貸してくれました。これらの書籍の中には、ウクライナやその他の地域のオフライン図書館では見つけることができないほど希少なものもあります。ご存知かもしれませんが、ウクライナには複雑な歴史があります。20世紀には多くの芸術家が我が国から移住したため、彼らに関する本がチェコ共和国、アルゼンチン、米国、カナダで出版されたのです。



もう一つの分野は、ウクライナのアーティストによるイラストが描かれた子供向けの本です。児童書の保管状態は多くの場合、他と比較して非常に悪いです。そのため、1960 年代から 1980 年代にかけて児童書の発行部数が10万から50万と目覚ましいものであったにもかかわらず、状態が良く、素晴らしいイラストが施された一部の本は、オンラインオークションで50ドル以上で売れることもあります。児童書を集めている人も多いです。フリーマーケットで、1冊10UAHの児童書の束を見つけると、純粋に幸せな気分になります。その中には1冊か2冊、非常に珍しい本があるかもしれません。キエフのポチャイナにあるフリーマーケットは、東ヨーロッパ最大のフリーマーケットの1つと考えられています。奇妙なことに、それは戦下であっても毎週末開催されます。フリーマーケットに行くたびに一つの冒険が始まります。私は1週間ずっとそれを心待ちにしているのです。フリーマーケットではいつでも新たな発見があります。何も買わなくても美術館のように何でも見ることができます。通常、オンラインで本を検索するときは、すでに知っている本を検索するでしょう。フリーマーケットは、存在すら知らなかった本が見つかる貴重な場所なのです。

私は本が好きで、本を読んだり、パラパラとページをめくったりするのが大好きです。また本の中に前の持ち主が残した痕跡を調べるのも楽しみです。しかし本に対する認識はその数に影響されます。私にとって最も重要なことは、本を山のように積み上げることではなく、それらを共有することです。つまり、本を売り、情報のバトンを手渡して行くことです。



ウクライナアートライブラリーのコンセプトは、オンラインで本を収集することです。本がインテリアやコレクションの要素であるだけでなく、重要な情報源であるからです。添付の写真にある2冊の本は美術作品と言ってもよいかもしれません。実は、私が知る限り、表紙に刺繍が施されたウクライナの本はこの2冊しかありません。1冊目は、1936年に出版された「ウクライナの民謡」です。この本の装飾用のイラストは、ウクライナ人の優れた芸術家であるワシル・クリチェフスキー(1872-1952)が作成したものです。彼はベネズエラへの移住を余儀なくされ、後に彼の地で生涯を終えました。この本は5,000部発行され、ハリコフ地方のウクライナ人女性たちによって表紙に手刺繍が施されました。 私の同僚とウクライナの出版業者であるオレクサンドル・サブチュクはこの作品に触発され、2017年に『ウクライナの農民芸術』という本を100部出版しました。ポルタヴァの職人、ヴィラ・ザボラがその表紙を制作しました。今回は機械刺繍でしたが、図案のサンプルはウクライナの古い民族衣装の袖に施された本物の刺繍です。 戦争が終結した際には、親愛なる日本の皆さんはウクライナを訪れ、このような驚くべき美しい本を自分の目で見ることができるでしょう。